●○●○●○●○●○●       ●○●○●○●○●○●    ●○●○●○●○●○●         ●○●○●○●○●○●   ●○●○●○●○●○●           ●○●○●○●○●○●  ●○●○●○●○●○● ポケットビリヤードの話 ●○●○●○●○●○●   ●○●○●○●○●○●           ●○●○●○●○●○●    ●○●○●○●○●○●         ●○●○●○●○●○●     ●○●○●○●○●○●       ●○●○●○●○●○●  これからお読みになる話は、Bass.keの実体験から得た知識です。  私はプロではありませんので、いろんなビリヤード参考書に書かれている事と  食い違う部分があれば、それは私の実力不足や勘違いによるものでしょう。一  応プロの方に目を通していただく事が出来ましたので、とんでもない間違いが  無い事だけは確かです。(^^; どうか、この話を読んでいただいて、奥深いビ  リヤードの魅力を感じ取っていただければ幸いです。                     1996年8月 佐久間圭介【Bass.ke】 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ************** 各部の名称 **************   ヘッドクッション          * τ===========・←タップ  ■−・−・−・−■←コーナーポケット * ↑           ↑  |       |          * キュー尻      キュー先  ・ヘッドスポット・          *  |   ↓   |          *  ・------・------・←ヘッドライン   * ○ ←手球(自分で撞く球)  | センター  |          *  ・  スポット ・          * ● ←的球(狙う球)  |   ↓   |          *      (1〜15の番号付き)  ■   ・   ■←サイドポケット  *  |       |          * その他……  ・フットスポット・          *  |   ↓   |          * チョーク……タップに塗り付けて  ・------・------・←フットライン   *       滑り止めにする  |       |          *  ・       ・          * メカニカル\ 左手でブリッジを  |       |          *  ブリッジ …作れない時に、使  ■−・−・−・−■←コーナーポケット * (レスト)/ 用する器械   フットクッション          * ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆      ●                        1      ●●     ナインボールゲームの進め方     56     ●●●                      294      ●●     (誰でもすぐに楽しめます)     78      ●                        3  ■−−−・−−−・−−−・−−−■ 1〜9番の的球を上図のようにラ  |               | ック(配置)して、準備は完了。  |               | 先攻の者は、ヘッドラインより内  |               | 側に手球を置きブレーク(初球)  ・               ・ をします。左図では手球を中央に  |               | 置いていますが、ヘッドラインの  |               | 内側であればどこでもOKです。  |       ○       | 狙い目は、先頭にある1番ボール。  ・               ・ この1番ボールに当たらないと、  |               | ファール(反則)になります。  |               |  |               | 先攻の決め方は、バンキングとい  ・               ・ う方法を用いる事が正式ですが、  |               | 普段はジャンケンで良いでしょう。  |               |  |               | ブレークで的球がポケットインし  ■               ■ た時は、同じ人が続けて次の的球  |               | を狙う事が出来ます。ただし、台  |               | 上に残っている「小さい番号の的  |               | 球」から狙わなくてはなりません。  ・               ・ 1番が落ちたら2番、次は3番と  |               | いう具合です。最終的に9番を落  |               | とした人が勝ちという事になるの  |               | が「ナインボールゲーム」です。  ・       ●       ・ 狙うのは小さい番号の的球ですが、  |       ●●       | その球に当たりさえすれば、何か  |      ●●●      | の拍子で他の的球が落ちても構い  |       ●●       | ません。9番ボールが落ちれば、  ・       ●       ・ 一気に勝敗が決まるのです。  |               |  |               | 狙った球に当たっても、何もポケ  |               | ットに入らなければ次の人に交代  ■−−−・−−−・−−−・−−−■ になります。代わった人も、同じ                    ように小さい番号から狙います。  また、最初に狙った球に当たらなかった時や、手球がポケットインしてし  まった場合(スクラッチ)はファールになります。ファールにはいろんな  種類があり、次の章に纏めてありますので参照して下さい。このファール  の時は、次の人に「フリーボール」の権利が与えられます。次の人は「自  分の好きな場所」に手球を置いて次の球を狙う事が出来るのです。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  (゚o゚)(゚o゚)(゚o゚)  ナインボールゲームのファール  (゚o゚)(゚o゚)(゚o゚)  ナインボールゲームのルールは簡単です。とにかくファールする事なく9  番ボールをポケットインすれば良いのですから。(^_^)  では、ファールにはどんな物があるのでしょう? 意外と知らずにゲーム  をしている方が多いようなので、ここで紹介しておきましょう。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  ★手球や的球が、ビリヤード台から飛びだして台に戻らなかった時    (人間以外の物に当たって戻った時はセーフ)  ★両足を床から離して撞いた時    (必ず片足を床に付けていなければなりません)  ★ボールが静止しないうちに撞いた時    (球の回転も止まらなければいけません)  ★人為的に目印を付けて、それを目標に撞いた時    (チョークなどの物を置いたり、人に立ってもらうのはいけません)  ★キューミスをした時    (タップが滑ってミスジャンプ等をした時はファールです)  ★狙い方や撞き方の助言を求めて撞いた時    (普段は構いませんが、試合ではファールになります)  ★狙うべきボール(番号が最小のボール)に、最初に当たらなかった時  ★スクラッチした時  ★手球や的球に、体や衣服・キューなどが触ってしまった時    (手球に触れていいのは、キュー先のタップだけです)  ★手球以外のボールを撞いた時  ★2度撞き(リク)をした時  ★クッションに接触している手球を、クッションに向かって撞いた時  ★狙った的球に当たったにもかかわらず、どのボールもクッションに当た   らなかった時(撞き方が弱すぎた時など) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−   以上のようなファールがあった時、  ★次のプレーヤーは手球を好きな場所に移動して撞く事が出来ます。   ただし、ブレーク(初球)の時のファールは、  ★ヘッドライン内の好きな場所にしか移動出来ません。(ヘッドライン内   に狙うべき球があった時は、フットスポットに移動してそれを狙います)  また、ファールの時にポケットインされた的球は、台のフットスポットに  戻します。2つ以上ポケットインされた時は、小さい番号をフットスポッ  トに置き、その後ろに真っ直ぐくつけて並べます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  ここには一般的なルールを書いてみましたが、「テキサスルール」等ロー  カルルールも沢山あります。試合をやる時は、前もってその場所でのルー  ルを確認して下さいね。(*^^*) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  (-。-)y-゚゚゚(-。-)y-゚゚゚   ビリヤードマナー   (-。-)y-゚゚゚(-。-)y-゚゚゚  ここで紹介する事は、ビリヤードのマナーであって「ルール」ではありま  せん。ファールと同様ビリヤードマナーというのは、知られていない事が  多いと感じています。あまり紹介される機会がないので、私が知っている  限りのマナーを書いてみたいと思います。これだけ知っていれば、ビリヤ  ード場で一目置かれるのは確かでしょう。(^_^) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  ◆くわえ煙草でプレーしない(台に灰が落ちます)  ◆ドリンク類をビリヤード台に置かない(こぼれると大変)  ◆泥酔状態ではプレーしない(プールバーでも泥酔は御法度)  ◆大声で、はしゃがない(他の人に迷惑)  ◆自分の順番でない時は、待機所で待つ(普通は椅子に腰掛ける)  ◆台に腰掛けない  ◆手球・的球が完全に止まるまでは、ファールの時も球に触らない    (ファールの時も動いた球を戻しません。あるがままで再開です)  ◆隣台の人とぶつかりそうな時は、譲り合う(撞く前に後方確認)  ◆撞く人が狙っている方向にいる時は、視野に入らないように退く    (退くのが遅れた時は、その場で動かないように)  ◆狙っている時に、プレーヤーに声をかけない  ◆ラシャにタップをつけない・ラシャを汚したり破いたりしない    (マッセは、お店の人が認めてくれない時はやってはいけません)  ◆試合前にはキチンと挨拶    (「お願いします」と声を掛合いましょう)  ◆素晴らしいショットをした時は、声をかけて褒める        _                              __ cノノミミ                            /  | ゚」゚                            //    ̄ \                        (((||   / \\                       τ=Щ=======ω=・ ( ( ( ( ( ( ( ( ( (((○  ●    /  |                              / /| |                            ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ■■■■■■■■■ 本編 『ポケットビリヤードの話』 ■■■■■■■■■  ここから先は、FOAU1 MES11に発言登録した発言を整理した物で  す。全14話ありますが、基本編は「第1話〜第9話」です。「第10話〜  第14話」は、バンクショット・キャロムショット・キスショットについて  解説した【補講】になっています。補講は、かなり高度な話になっています  ので、初心者の方は「将来の楽しみ」に取っておいて下さいね。(^^; ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  ■■ 基本編 ■■ 【第1話……『ポケットインしよう』】  ポケットビリヤードは、手球(白いボール)をキュー(棒)で撞いて、的球  (番号の付いたボール)をポケットインするゲームです。  右の図をビリヤード台と  ■−・−・−・−■−・−・−・−■←ポケット  して話を進めます。    |               | (穴)  手球・的球・コーナーポ  ・ ● ←的球         ・  ケットが一直線になって  |               |  いるのがわかりますね。  ・   ○ ←手球       ・←ポイント  こんな時は、手球が的球  |               | (台に付いて  とピッタリ重なるように  ・               ・  いる目印)  真っ直ぐ狙いましょう。  |               |               ■−・−・−・−■−・−・−・−■  しかし、上図のようにいつでも一直線になっているわけではありません。では、  そんな時はどのように狙ったら良いのでしょう。  原理は一直線になってい  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  る時と何ら変わりません。 |   ●○          |  ポケットと的球を線で結  ・ ●   \         ・  んだ反対側にイメージボ  |  ○  ←イメージボール  |  ールを思い描けば良いの  ・     /         ・  です。右図参照。     |    /          |  このイメージボールに向  ・   /     ○ ←手球 ・  かって真っ直ぐ撞きまし  | ●○            |  ょう。          ■−・−・−・−■−・−・−・−■  物理的には、手球・的球・ポケットを線で結んだ時90度より大きい角度なら  ば、どんな場合でもポケットインする事が可能です。ところが、私達が普段楽  しんでいる「ナインボールゲーム」の場合、狙うべきボールが別のボールに邪  魔されて直接狙えない時があります。そんな時、どうしたら良いのでしょう。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第2話……『クッションを有効に使おう』】  ビリヤード台には、ポケットの無い部分に「クッション」と呼ばれるゴム製の  「土手」が付いています。不自然な回転の無い球がこのクッションに当たると、  入ってきた角度と同じ角度で跳ね返されていくのです(入射角=反射角)。  右図ではせっかくポケッ  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  ト近くに的球があるのに  |● ●    ○       |  手前に邪魔している球が  ・↑      ↑       ・  あって直接狙えません。  |狙う的球   手球      |  こんな時は、クッション  ・               ・  を利用すると案外簡単に  |               |  ポケットイン出来たりす  ・               ・  るものです。       |               |               ■−・−・−・−■−・−・−・−■  最初に書いた通り「不自然な回転の無い」事と「球に勢いが有りすぎない」事  が条件になります(球に勢いが有るとどうなるかは、先のお楽しみです(^^;)。  要するに強く撞いてはいけません。手球の撞点は「中心やや上」(球が自然に  転がる回転を与えるため)。撞点が中心から横にずれた場合は、軌道が大きく  変わってしまいますので注意が必要です。  クッションに当たって同  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  角度で跳ね返るわけです  |● ●    ○       |  から、同じ角度になるポ  ・       /        ・  イントを見つけてやりま  |      /         |  す。台にポイントが付い  ・      /         ・  ているのは、この為なの  |     /          |  です。飾りではありませ  ・     /          ・  んよ。的球がポケットの  |    /           |  近くにある場合、かなり  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  の確率でポケットインで      ↑狙うポイント  きますので、是非狙ってみましょう。  さて次回は、クッションを狙った時にも邪魔する球があった時にどうするかで  す。これを覚えれば「セイフティ(相手が狙いにくい位置に手球を運ぶ事)」も  怖くなくなりますよ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第3話……『手球をヒネってみよう』】  ヒネるためには、手球の撞点を覚えなければなりません。また、正確に狙った  撞点を撞くための「正確なストローク」も身につける事が不可欠になってきま  す。つまり、少し練習が必要という事ですね。(^^; まぁそんなに心配する事  はありません。10分も練習すれば、大体の感覚は掴めるハズです。(*^^*)                         ___  ちょっと不格好な図ですが、右図を手球    / ・ \  だと思って下さい。他にも、もっと細か   /・   ・\  く分かれる撞点ですが、取り敢えず右の   |      |  9つだと考えて下さい。つまり、中心上   |・  ・  ・|  ・右上・右・右下・中心下・左下・左・   |      |  左上・そして中心(ど真ん中)の9つ。   \・   ・/  スリークッションなどでは、さらに細か    \ ・ /  く撞点を変えていかないと狙えない場合      ̄ ̄ ̄  が多いのですが、ポケットの場合は大体この9つでまかなえます。(^_^)  それぞれの撞点で、手球  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  をクッションに向かって  |               |  図のように撞いてみます。 ・               ・  図上のクッションに跳ね  |   ↑           |  返った後、図下のクッシ  ・   ○           ・  ョンに戻ってくる位置は  |               |  標記の通りです。この特  ・               ・  性を利用すれば、狙える  ○ ○ ○ ○ ○       |  球がさらに増えますね。  ■−・−・−・−■−・−・−・−■               左 左 中 右 右                 上 心 上  では1例。  前回やった中心上撞きで  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  は、図下の球が邪魔にな  |           ○● ●|←狙  って狙えません。そこで  ・           |  / ・ う  ヒネってやるわけです。  |           |  / | 的  図下の狙うポイントに向  ・           | /  ・ 球  けて「左」を撞いてやる  |           | /  |  とバッチリ。       ・           |/   ・  ところで、今まではずっ  |           | ● |  と短いクッションで例を  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  挙げましたが、長いクッ              ↑狙うポイント  ションの場合は長さが「倍」になりますので、戻ってくるポイントも「倍」の  長さになります。斜め上を撞いた時は、「短いクッションで1ポイント」=長  いクッションで2ポイント」ずれるという事です。ちょっと難しいかなぁ。(^^;  さて次回は「強く撞いた時の手球の動き」についてです。今まで「強く撞いて  はいけません」と書いてきたのは何故か? 次回にわかります。(^_^) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第4話……『強く撞いた時の手球の動き』】  私のビリヤードフォームは、実は褒められた物ではありません。スリークッシ  ョンを始めた時にBIGBOXのプロから直されましたが、未だに悪い癖が出  てしまいます。ですから、強く撞くと方向性が悪くなるのです。これは万人に  言える事ですが、強く撞いても方向性を保つためにはキチンとしたフォームで  シッカリしたストロークを身につけなければなりません。本当に上手くなりた  い人は、早いうちにプロから学ぶ事をお薦めします。  では本題。まずクッションに向かって撞いた時の話です。  クッションはゴム製ですから、強い衝撃を受けるとそれを和らげるために凹み  ます。すると反射する時に凹んだ部分が邪魔をして、反射角度が入射角度より  小さくなってしまうのです(手球に横回転を与えない「中心撞き」の時)。  右図はポケットの無いス  +−・−・−・−・−・−・−・−+  リークッション用の台で  |      / \      |  す。ここで私が実際に試  ・     /   \     ・  した結果を書いてみます。 |    /     \    |  中庸の強さで撞いた時に  ・   /       \   ・  比べて、この場合約半ポ  |  /         \  |  イント縮まってしまいま  ・ /           \ ・  す。入射角度45度に対  |/○            ○|←手球  して、反射角度は45度  +−・−・−・−・−・−・−・−+(最初の位置)  →38度ぐらいに変わり  ↑↑強く撞いた時  ます。         中庸  次に、的球に当たった後の動きです。ビリヤードでなくても、何かのボール2  つが当たった時を想像すればわかります。弱く当たった時に比べて、強く当た  った時はボールが弾け飛びますね。つまり、弾けて角度が大きくなるのです。  では1例。  右図で的球をコーナーポ  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  ケットに入れると、手球  |     中庸↑ ↑強い   |  はサイドポケットに入っ  ・               ・  てしまいます(中心撞き  |  ●             |  の時)。これを強打した  ・               ・  時は、大体1ポイント近  |  ○            |  くずれて手球はポケット  ・               ・  に入りません。      |               |  そう、実はこの強打を使  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  ってスクラッチ(後述)  を防ぐ事も出来るのですが、個人的にはこの方法はお薦め出来ません。なぜな  ら、手球が大きく動きすぎてコントロールが効かなくなってしまうからです。  ビリヤード台には6個のポケットがありますし、台上に残っている他の的球も  あります。これらを避けるためのコントロールは「強打」では困難なのです。  では次回は「スクラッチ」についてです。スクラッチとは、手球がポケットに  入ってしまう事でファールの一種です。試合でこれをやると一気に相手が優勢  になる事が多いんですよね。何とか防ぐ方法は無いものだろうか? そんな疑  問にお応えします。(^_^) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第5話……『スクラッチする手球の動き』】  「スクラッチ」とは、手球(白いボール)がポケットに入ってしまう事です。  せっかく的球をポケットインしておきながら、スクラッチでファールというの  は泣くに泣けませんね。(^^; 常連の方でも「スクラッチが怖い」という方は  多いようです。で、これを防ぐためには「手球の動き」を予想する事が大切。  今回は、基本的な手球の動きを書いてみます。  右図の左上のコーナーポ  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  ケットに的球が入るよう  |               |  に狙うわけですが、その  ・               ・  時手球はどのように動く  |               |  のでしょう。       ・   ●           ・               |   的球  ○       |               ・       手球      ・  (ポイントの間隔は縦横  |               |  同じ長さです)      ■−・−・−・−■−・−・−・−■  『手球の中心を中庸の強さ』で撞いた場合、手球は的球に当たった後90度の方  向に動きます。つまり、手球と的球は90度の方向に分かれて進むという事です。  ここで図に戻ります。  的球と左右のポケットを  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  線で結ぶと、右のように  |\              |  90度になります。     ・ \             ・  ですから「手球の中心」  |  \            |  を撞いて的球をポケット  ・  〈●           ・  インした時は、手球も反  |  /    ○       |  対側のポケットにスクラ  ・ /             ・  ッチしてしまうという訳  |/              |  なんですね。       ■−・−・−・−■−・−・−・−■  では、スクラッチを防ぐためにはどうしたら良いのでしょう? ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第6話……『スクラッチを防ごう』】  『手球の中心を中庸の強さ』で撞いた場合、手球と的球が90度に分かれて進  むのは理解していただけましたね。この「手球の中心」と書いたところが、実  はミソなのです。では、中心以外の場合どうなるのでしょう?  まず上を撞いた場合です。 ■−・−・−・−■−・−・−・−■  的球との分離角度は90  |\              |  度より小さくなります。  ・ \             ・  的球に当たった後、右図  |  \            |  「*」の辺りに来るので  ・   ●           ・  す。これでスクラッチは  |       ○       |  防げますね。       ・←*             ・               |               |               ■−・−・−・−■−・−・−・−■  次に下を撞いた場合です。 ■−・−・−・−■−・−・−・−■  的球との分離角度は90  |\              |  度より大きくなります。  ・ \             ・  的球に当たった後、右図  |  \            |  「@」の辺りに来ます。  ・   ●           ・  これでもスクラッチは防  |       ○       |  げます。         ・ @             ・               | ↓             |               ■−・−・−・−■−・−・−・−■  重要なのは「90度という角度を認識する事」です。たったこれだけの事でス  クラッチは怖くなくなるのです。  (ま、それでもスクラッチする事もあるんですけどね(^^ゞ ポリポリ)  さて、いよいよ佳境に入ってきました。次回は『次の的球を狙うために』です。  1つ的球を落としても、次の球が狙いにくい位置にあるようでは連続して落と  していくのは大変な事です。手球を上手くコントロールして、狙いやすい位置  に運ぶためのテクニックを紹介します。(^_^) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第7話……『次の的球を狙うために−その1』】  ポケットビリヤードの花形ゲーム「ナインボール」は、1〜9の番号が付いた  的球を順番に狙っていくゲームです。9番ボールをポケットインした人が勝ち。  勿論最初に1番ボールに当たれば、その1番ボールが9番ボールに当たってポ  ケットインしても有効です。あるいは1番ボールに当たった手球が9番ボール  に当たってポケットインしてもOK。前者を「コンビネーションショット」、  後者を「キャロムショット」と呼びます。この辺のショットは偶然出来る事も  多いのですが、頭で考えた通りにコントロールするのはとても難しいものです。  という訳で、最初は1つずつポケットインする事を覚えた方が良いと私は考え  ています。9個のボールを連続して落とす事を「マスワリ」と呼んだりします  が、私が初めてマスワリをした時は身体が震える程嬉しかったのを今でも覚え  ています。皆さんにも是非この喜びを味わっていただきたいなぁ。(^_^)  さて、このマスワリを完成させるためには、手球を上手にコントロールして次  の的球を狙いやすい位置に運ぶ事が一番の早道です。テクニックは沢山あるの  ですが、今回は『ストップショット(的球の位置で手球を止めるショット)』  を紹介します。手球を止めてしまう訳ですから、手球を撞く強弱も比較的広範  囲で許されるのです。一番安心して撞けるショットと言えるでしょう。  このショットが使える条件 ■−・−・−・−■−・−・−・−■  は、手球−的球−ポケット |       ↑       |  が一直線に並んでいる事で ・   ●2  ↑       ・  す。まず1番ボールを落と |       ●1      |  した時、その位置で手球が ・       ↑       ・  ストップすると2番ボール |       ○手球     |  を真っ直ぐ狙えますね。ま ・ ●3            ・  た、2番ボールも同様で3 |               |  番が真っ直ぐ狙える簡単な ■−・−・−・−■−・−・−・−■  ショットになります。  手球の撞点は「ど真ん中」 ■−・−・−・−■−・−・−・−■  です。全く無回転のまま的 |               |  球に当たるとその場所に止 ・   ●           ・  まります。もう1つの方法 |    ↑           |  は「真下を軽く撞く」事。 ・   ここに ○       ・  手球が戻って来られないぐ |   止める         |  らい軽い逆回転を与えるの ・ ●             ・  です。この方法を使う時は、|               |  わざとキューを長く出さな ■−・−・−・−■−・−・−・−■  いようにします。  原理としては「おはじき」を思い出すといいかも知れません。おはじきは回転  しませんから、狙った別のおはじきに真っ直ぐ当たるとその場にストップしま  すよね。とにかく「無回転状態」で手球が滑るように進む事が大事です。1番  ボールをポケットインする時に、2番の位置を見てみましょう。ストップショ  ットで狙える状態の時は、すかさず使ってみて下さいね。(^_^)  次回は『次の的球を狙うために−その2』です。今度は手球に逆回転を与えて  引き戻す「引き球(ドローショット)」を紹介しましょう。(^o^)/ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第8話……『次の的球を狙うために−その2』】  手球をコントロールするための2つ目の方法「引き球(ドローショット)」を  紹介します。その前に、前回に紹介した「ストップショット」と次回に紹介す  る「押し球(フォローショット)」を引き合いに出してみます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−        【↓ここで的球に当たる】  ○→→→→→○          (「ストップショット」は止まる)  ○→→→→→○→→→→→     (「フォローショット」は止まらず進む)  ○→→→→→○          (「ドローショット」は逆戻りする)   ←←←←← −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  3種類のショットの特性は、上の図を参照して下さい(的球に真っ直ぐ当たっ  た場合)。今回は、逆戻りする「引き球(ドローショット)」の話です。  撞点は「下」です。右下・左下もあり      \  このように斜めに  ますが、取り敢えず「真下」を撞いて       \ なっては、ダメ。  みましょう。この時に、キューが出来  キュー → \  るだけ水平になるように構えて確認し         \○  て下さい。キュー尻(太い方の先端)    ↓  が上に持ち上がって斜めになっている   _______○ このように  と、キューミスが起こりやすいのです。           水平にする。  キューミスとは、手球に対してタップ  (キュー先に付いている手球と接する部分)が滑ってしまい思い通り撞けない  事で、ファールになります。キューが下にもぐり込んで手球がジャンプしてし  まう事がありますが、これは明らかなファールです(ファールでないジャンプ  ボールの撞き方は、そのうち紹介します(^^;)。  「引き戻す距離」のコントロールですが、これは「キューを出す長さ」と「ス  ピード」で調節します。同じスピードで撞いた時は、キューを長く出すと回転  が増えますし、長距離を引き戻す時は「キューを長く、しかも速く」撞く事に  なります。「強く撞く」のと「速く撞く」のは、実は似ているようで違います。  この感覚をマスター出来れば、上級者の仲間入りと言っても良いでしょう。  このショットは非常に利用  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  価値が高い物です。今回は  |       ↑       |  1例を紹介します。1番ボ  ・       ●1    3●・  ールを落とす時、ドローシ  |      ↓↑       |  ョットを使って手球を引き  ・      ↓↑       ・  戻し、*の位置まで移動さ  |      ↓○手球     |  せます。こうすると2番ボ  ・   2  ↓        ・  ールが真っ直ぐ狙えますね。 |   ●  *        |                ■−・−・−・−■−・−・−・−■  2番ボールも同様にして、  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  @の位置まで引き戻します。 |               |  これで3番も狙いやすい簡  ・             3●・  単なショットにする事が出  |               |  来るのです。戻したい距離  ・               ・  を正確にコントロールする  |               |  のは一朝一夕というわけに  ・    →→→→→→→→→@ ・  はいきませんが、マスター  |/←←●←←○        |  すれば強力な武器になりま  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  す。是非チャレンジしてみ  て下さいね。(^_^)  次回は『次の的球を狙うために−その3』です。今度は手球を的球と同じ方向  に押し進める「押し球(フォローショット)」を紹介しましょう。(^o^)/ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ■■ 基本編 ■■ 【第9話……『次の的球を狙うために−その3』】  今回は「押し球(フォローショット)」の紹介をしてみます。(^_^)  引き球(ドローショット)は、手球にバックスピンを与えるショットでした。  押し球(フォローショット)は、トップスピンをかけます。撞点は「上」。や  はり「右上」「左上」などもありますが、今回は「真上」を撞いてみましょう。  この時も、キューが出来るだけ水平になるように気を付けます。左手で作るブ  リッジも、当然引き球の時より高い位置に来る事になるのです。  __м_______○ ←引き球 押し球→  ̄ ̄M ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○  「м」と「M」がそれぞれブリッジのつもりですが(^^;、キューの高さが高く  なる分ブリッジの位置が高くなって不安定になりがちです。指の形を工夫して  (ちょっと文字絵では書けない(^^;)グラつかないようにしましょう。人指し  指を手前に引き寄せるようにすると、上手くいくと思います。  このショットも非常に利用  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  価値が高い物です。では1  |   ●  *↑       |  例。1番ボールを落とす時、 ・   2  ↑↑       ・  フォローショットを使って  |      ↑↑       |  手球を走らせ、*の位置ま  ・●3     ●1      ・  で移動移動させます。これ  |       ↑       |  で2番ボールは真っ直ぐ狙  ・       ○手球     ・  狙えますね。スピンの量を  |               |  上手く調節して下さい。加  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  減を間違えると、的球と一  緒にスクラッチしてしまいます。(^^;  2番ボールも同様にして、  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  手球を@の位置まで運びま  |\←←●←←○        |  す。これで3番も狙いやす  ・@←←            ・  くなりました。このショッ  |               |  トの加減は、もしかしたら  ・●3             ・  ドローショットより難しい  |               |  かも知れません。と言うの  ・               ・  は、手球に与える回転の度  |               |  合と、回転では無いキュー  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  で押す力の関係があるから  です。つまり、軽く撞いたけど回転がしっかりかかったので長い距離を転がっ  たという事もありますし、反対に強く撞いたけど回転がかからなかったのであ  まり転がらなかったという事もあります。基本的には「撞点を正確に撞く」事  が出来れば、調整は簡単になります。そのためには、やはり正確なストローク  という事になるのですが……。  さて、ここまでで「ポケットビリヤードの話」は第一部終了とさせていただき  ます。長い間の講読有り難うございました。 何度か読みなおしてい  ただくと、「次の球を狙うためのヒント」は沢山隠れています。また、ビリヤ  ードオフに参加して聞いて下されば、私の持っている知識は出し惜しみ致しま  せん(ま、プロではないので、間違った事言うかも知れませんが(^^;)。  ビリヤードオフ常連の方々の腕が一段と上がった頃を見計らって、第二部をア  ップさせていただきます。手球の斜め上や真横を撞いて走らせるシステムの紹  介など、さらに奥深いビリヤードの魅力をお伝え出来ればと考えております。  では、またお会いしましょう。(^o^)/ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ■■■■■■■■■■■■■ 以下は【補講】です ■■■■■■■■■■■■■ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ●● 補 講 ●● 【第10話……『バンクショット−基本編』】  「バンク」とは何か? 銀行の事ではありません…………………エー、コホン。(-_-;)  英語でも同じ綴りですが「土手・堤防」の方が正解です。(^^; ビリヤード台  にある「土手」というのは、そう、球が外に飛び出さないように台の縁に付い  ている「クッション」の事です。的球を、このクッションにぶつけてからポケ  ットを狙うショットの事を『バンクショット』と呼びます。ここから先を読む  前に、第2回目の時にお話しした『クッションを有効に使おう』を、もう一度  復習してみて下さいね。あの時は手球をクッションにぶつけましたが、今回は  的球をぶつける事になります。                   ↓ここに入る  右図を見て下さい。手球から真っ  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  直ぐ的球を狙うと、第2回目の話  |       ○手球      |  に出てきた手球の例と同じコース  ・       /         ・  になるのがおわかりいただけます  |      /         |  か? つまり、入射角と反射角が  ・     /          ・  等しくなる位置に的球がぶつかり、 |     /          |  上側のコーナーポケットに入るの  ・●   ●的球        ・  です。これがバンクショットの基  | ●  /           |  本です。             ■−・−・−・−■−・−・−・−■  この例の場合は、手前のコーナー  ポケットが他の的球で邪魔されて狙いづらくなっています。このような場合に  はバンクショットが有効になってくるのです。しかし、第1回目の話で触れた  ように、「90度より大きな角度の場合」はポケットを直接狙う事が出来ます。  正確さを考えると、上のように邪魔されていない場合は直接ポケットを狙った  方が確実だと思います。と言うのは、クッションというのは台ごとでコンディ  ションが違う事が多いからなのです。まして手球ではなく的球をぶつけるので  すから、ちょっとした強さや回転の具合でコースが大きく変わってきます。こ  の調節は非常に難しい。数多くの球を撞いて、自分なりの感覚を養うしか方法  がないのです。(>_<)  言い忘れましたが、手球を撞く強さは「中庸」です。弱い場合は反射角が大き  く、強い場合は反射角が小さくなります。自分の感覚さえ掴めれば、強弱のコ  ントロールで角度を調節する事も可能になります(実は厚みを変えるより強弱  を変えた方が簡単なのです(^^;)。  今回は「真っ直ぐ」狙える形なので的球の横回転を考える必要がありませんで  したが、次回は「真っ直ぐ以外の形」を考えてみましょう。この場合は、的球  にヒネリ(横回転)が加わってしまうので、さらに計算がややこしくなります。  中級以上の話になってしまうと思いますが、後学のためと思ってお付き合い下  さい。(^^ゞ ポリポリ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ●● 補 講 ●● 【第11話……『バンクショット−応用編』】                           こちらから撞く  手球と的球が「真っ直ぐ以外の形」で         ↓   ↓  ぶつかると、的球には「ヒネリ」が加  わります。右図を見て下さい。なるべ         ○   ○  くわかりやすく書いたつもりですが、         ●)   (●  「ヒネリ」の表現は難しいなぁ……。        ←     →  球が擦り合わさるのを想像していただ  ければ、どちら向きにヒネリが加わるかご理解いただけると思います。バンク  ショットを考える時、どうしても無視出来ないのがこの「ヒネリ」なのです。  第3回目の話『手球をヒネってみよう』で、ヒネリを入れるとクッションに当  たった時に跳ね返る方向が違うという事を説明しました。バンクショットでは  的球にヒネリが入るので、この分を調節してやらなければなりません。調節の  方法は3つあります。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【1】強さで調節する − 前回の基本編でお話ししたように、強く撞くと角度              が小さくなります。その代わりヒネリも強くなりま              すので、調節は比較的難しいような気がします。 【2】厚みで調節する − ヒネリが入る分を、狙いの「厚み」で調節します。              逆ヒネリが入る時は、薄く狙います(図で後述)。 【3】手球のヒネリで − 手球にヒネリを入れて的球のヒネリを相殺する方法    調節する      です。次の球を狙うポジションプレーを考慮に入れ              ると、図らずもこの方法を使わざるをえません。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  ………………………………………………………………(^^;。難しい話ですねぇ。  実際のゲームではポジションプレーが必要ですから、どうしても上の3つを組  み合わせて「ここは弱くヒネって撞かなければならない局面だから、その分を  厚みで調節しよう」という事になってしまうのです。                   ↓的球はここに入る  右図を見て下さい。斜めの線が自  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  由に引けないので、手球の動きに  |   ○       ○   |  嘘がありますが、次に狙うべき的  ・   ↓  手球の /    ・  球が右側にあるので大体図の位置  |   ↓   動き/     |  に手球を運ばなければなりません。 ・   ↓    /      ・ 次  的球には逆ヒネリが入ります。つ  |   ↓   /       | に  まり反射角度は小さくなります。  ・   ●  /       ●・←狙  本来の狙いは「厚み半分」といっ  |   / \/         | う  たところですが、逆ヒネリが入る  ■−・−・−・−■−・−・−・−■ 球  分厚みを薄くします。しかし、手  球を動かすためには「左上」のヒネリが必要ですから、このヒネリで的球への  ヒネリが幾分相殺されます。そこで、その分厚みを厚くするのです。あー、こ  んがらがりますねぇ。(^^;  今回は「的球に逆ヒネリが入る場合」を図にしましたが、勿論「順ヒネリが入  る場合」もあります(もう難しすぎると思いますので割愛(^^;)。さて、次回  はバンクショット編の最終回『バンクショットの限界』の解説をします。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ●● 補 講 ●● 【第12話……『バンクショットの限界』】  クッションにぶつけて跳ね返らせるのがバンクショットであるのは、もうご理  解いただけたと思います。跳ね返らせるためには条件があるのですが、これが  今回の『限界』に関係してきます。  右図の的球は、下のクッションに  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  くっついています。本来ならほと  |       ↑       |  んど真っ直ぐに狙う球なのですが、 ・       ここを狙う   ・  実際にはそれだけではポケットイ  |               |  ンする事が出来ません。手球が的  ・               ・  球に当たった次の瞬間、的球がク  |      ○         |  ッションの反発で跳ね返りますの  ・               ・  で、もう一度手球とぶつかってし  |      ●的球      |  まい思わぬ方向に弾け飛ぶのです。 ■−・−・−・−■−・−・−・−■  このように、クッション近くに的球がある時は『バンクショットの限界』が待  ち構えています。要するに、手球と的球が2回ぶつかるような場面を『限界』  と思って下さい。この時には、「強打して手球を弾け飛ばせる」か「ヒネリを  入れて2回以上のクッションを利用する」などの方法がありますが、かなり上  級な方法なのでここでは説明しない事にします。(^^ゞ ポリポリ  「どうしても詳しく知りたい」という方は、BIGBOXオフの時にでも声を  かけて下さい。私自身も毎回上手く撞ける自信が無いのですが、実際の球の動  きはご理解いただけると思っています。  さて、次回は『キャロムショット』についてです。ビリヤードには、台にポケ  ットが無い「4つ球」や「スリークッション」という種目があります。これら  の種目を総称して「キャロムビリヤード」と呼ぶのですが、的球をポケットに  落とすのではなく「手球をコントロールして別の的球に当てる」競技なのです。  『キャロムショット』も、手球のコントロールが鍵になります。どんなショッ  トなのかは次回のお楽しみ。(^_^) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ●● 補 講 ●● 【第13話……『キャロムショット』】  今回は「キャロムショット」の話。キャロムビリヤードというのは、前回お話  ししたように手球をコントロールして得点を競う種目(4ツ球やスリークッシ  ョンなど)を指しています。これをポケットビリヤードにも応用したものが、  「キャロムショット」という事なのです(「キャノンショット」と呼ぶ事もあ  りますが、この呼び名の由来はわかりません(^^;)。  今回は、第5回目の話「スクラッチする手球の動き」を参照して下さいね。  右図の配置で、1番ボールを左下  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  のポケットに狙う(中心撞き)と、 |●9             |  手球が左上のポケットにスクラッ  ・               ・  チしてしまうというのが、第5回  |               |  目の話でした。この時、左上のポ  ・   ●   ○       ・  ケットに9番ボールがあったらど  |  /1   手球      |  うでしょう? そう、この9番に  ・ /             ・  当たる事になるので、手球ではな  |/              |  く9番が入り一気にゲームセット。 ■−・−・−・−■−・−・−・−■  このように、手球の動く方向に9番ボールがある場合、とても威力を発揮する  のがキャロムショットです。この他、1番ボールとポケットの間に邪魔な的球  がある場合にも有効になってきますね。このショットは、何より「手球の動き  を理解する事」が必要です。まずは、「中心撞きの時、手球と的球が90度に  分離する」という事をよく覚えましょう。  慣れてくれば、様々な撞点を利用して狙う事が出来るようになります。例えば、  手球を直角方向に走らせたい時は、「狙いは厚み半分、撞点は真下」など。ス  リークッションを体験しておくと、さらにクッションまで利用したキャロムシ  ョットが可能になります。私自身、スリークッションを始めたおかげで、今ま  で考えも及ばなかった配置でも狙う事が出来るようになりました。(^_^)  さて次回は、補講もいよいよ最終回。「キスショットの話」です。ビリヤード  には実に様々な狙い方が存在し、同じ配置でも人によって狙い方が違う時もあ  ります。実は「キスショット」というのは、的球にキャロムショットをさせる  という非常に難解な取り方です。私は滅多に使う事のないショットですが(他  のショットで代用できるため)、「次の的球を狙いやすくするため」や「キス  ショットを使った方が優しい場合」には必要になる事でしょう。(^^; ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ●● 補 講 ●● 【第14話……『キスショット』】  さて、【補講】もいよいよ最終回となりました。「キスショット」の話です。  このショットを狙いどおり決められるようなら、胸を張って「中級者」と言え  るでしょう。それほど難解なショットです。まずは図から……。  図下から的球を狙うわけですが、  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  左上のポケットは他の的球に邪魔  |\ ◎(ぶつける的球)     |  されて直接狙えません。この時に  ・ ●(別の的球に当たる位置) ・  前回取り上げたキャロムショット  |◎↑(邪魔している的球)   |  が頭に浮かべば、戦術的には申し  ・ ↑             ・  分ありません。但し、今回は手球  | ●(最初の的球の位置)   |  ではなく的球にキャロム的動きを  ・ ↑             ・  させるのです。右図の場合、約半  | ○(手球)         |  分の厚みでぶつけられればOK。  ■−・−・−・−■−・−・−・−■  ぶつかった後、綺麗にポケットに  吸い込まれます。(^_^) 「ぶつける的球」に当てる厚みと、ぶつかる的球の  回転・転がる速さを慎重にコントロールする必要がありますが、上図のような  配置なら一番ポケットインの確率が高いと思います。  キスショットの意味は、「他の的球にぶつけてから入れる」という事でしょう。  恋人との甘いキスではなくて、「車がキスする(衝突する)」という方の意味  だと認識しています。(^^;  このショットが成功する好条件は、 (1)「ぶつける的球」がポケットの近くに有る事。 (2)ぶつかった後進む方向が、45〜60度くらいの角度である事。  などです。キャロムショットの時は、手球の撞点を変えて自由に回転をかける  事が出来ましたが、今回のキスショットでは、手球ではなく的球をぶつけてコ  ントロールするのですから、バックスピンをかけるのはまず無理でしょうね。  という事は、無回転かトップスピン状態でぶつかった時に自然に進む角度(4  5〜60度くらい)が好条件となるわけです。  キスショットは、撞く人の感覚次第で様々なバリエーションが生まれます。例  えば、先にクッションに当ててからぶつけるなんていうのは、実はスリークッ  ションの応用で簡単に思いつく事が出来ます(←これは確率が高い)。  ビリヤードという競技は、このキスショットに限らず「様々な感覚を養う事」  と「その感覚通りに撞く技術を身につける事」の2つの繰り返しです。上手く  なれるかどうかは、自分の「感覚」と「練習」次第と言ってもよいでしょう。  私のように「負けず嫌い」な性格が、ビリヤードには向いているのかもしれま  せん。人に負けるのが悔しくて悔しくて、一生懸命練習した時期がありました  もの。(^^; ある時、負けた事があまりにも悔しく情けなくて、自分持ちのキ  ューを折ってしまった事さえあります。(←良い子は真似しないよーに(^^;) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  いろんな話をしてきましたが、最後にもう一度確認しておきます。これまでに  書いてきた「ポケットビリヤードの話」14話は、Bass.ke の実体験に基づい  た話です。私はプロではありませんから、勘違いや実力不足で「嘘偽り」を書  いている可能性は否めません。ただ、この話を読んで、ビリヤードに興味を持  って下されば嬉しいとの気持だけで書きました。間違いの指摘、叱咤激励、  「私もビリヤードをやってみたい」、どんな事でもコメントいただければ嬉し  く思います。3か月余りにわたってお付き合いいただきまして、誠に有り難う  ございました。 >読んで下さった皆様  また機会がありましたら、もう少しレベルアップする為の話を書いてみたいと  思っています。      ヘヘ  Ф==== 〉  Bass.ke     \ヘ/  {PC9821Xp / OASYS300A & 30LX}{FMV DESKPOWER-S} ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■